最終局面の中盤か

五段階なら三くらいな気がする。

 

薬の服用が難しくなってきたので(口内に腫瘍があるのも影響)、痛み止めが貼り薬になった。

 

もしかするとそれの影響もない訳では無いようだが(薬剤師から少しぐったりするかもとは聞いてたので)、母の意識が混濁するようになってきた。

 

目の感じで私は分かるようになってきた。

起きて水が飲みたい(というジェスチャー←もうほとんど会話は難しくなり、発語もしなくなってきた←でも痛みとかの時は、オーとかウオーとか叫んだりするが)と言うので、じゃ冷たいの持ってくるね、と、一瞬その場を離れたらもう意識が遠くなってる、というのが何度もあったし、その水について、ポカリにする?とか聞いてる途中で、意識が遠くなってるのも見て取れる。

 

また、少し前からせん妄か?という記事にも書いたが、夜に声を出したり、「死にそうに辛い」「落ちる!」「助けてー!」など叫ぶこともあったが、加えて、使ってた枕をどこかへやったり、そこに敷いてたタオルもどこかへやったりなどしてしまうようになった。

それも昼夜関係なく。

子供でいうとむず痒くなり暴れてる、みたいな感じとでもいうか、そんな感じ。

 

以前に看護師から貰った冊子をまた開いた。

そういうことをすることが書かれてて、あ、このタイミングだな、と父に再度渡してみた。

前に貰ったタイミングで渡したが、さらっと読んで、まーまーそうだよね、位だったので、ほとんど読んでなかったが、今回はじっくり読みながら「書いてある通りじゃん、これもこれも」と納得していた。

 

父はまた何故か謎の被害妄想モード?を炸裂させてて、母が自分をからかってそういう枕をどかしたり、タオルをはいだりなどして、困らせてるのだろう的に思ってたようだった。だから、何でこんなにしてるのにそんなバカにされるんだ…と思って泣いたりもしてたのだ。

 

ただ、今の段階で読んだその冊子には、今の母の行動の全てが書かれてたため腑に落ちたようで、ある種諦めというか「そうか、ならば本当にもうすぐなんだな」と言う気持ちになったようだった。

(また私が言うことだとそういうことはあまり信じず、看護師の方が作った冊子だから余計に安心したようだった)

 

母は本当の意識がはっきりした時の応答は、本当に穏やかでニコニコとして、ポカリで作った氷を口に含んでは「美味しい」と小さく言ったりするのだが、その光景がほとんど減ってしまった。

 

ほとんどが違う意識で支配されてて、だいぶしんどいのかもしれないなとも感じる。

 

その頓服の痛み止めはもう50本ほど処方されていて、1時間ほど開けたらいつでも飲んでいいことになっていて、先々週までは1日に飲んでも2回が、先週くらいからは3回、今週はもう4回や昨日などは5回にも達した。

 

薬漬けじゃないか、とも思うが、病院だとこれは点滴とかになるのだろうか(知らない)、在宅ではこんな感じなのだな、緩和ケアは、と思ったりしてる。

とにかく痛みを取る。それしかかないし、家族が出来ることなんて、薬の服用とおむつ替くらいなもんなのだ。

 

結局、最後の最後まで、やりたいこととか行きたいところもなく、そういう欲がないままこの状態の母から、最近、人間の本当の残りというか、素というな、そういうものって、ちっぽけで、でもそこに本当に生命だけがあるんだなって感じてる。

 

精神とか思想とか、何かそんな空想的なふんわりしたものではなくて、生身の人間そのものというか、ただそれだけ、みたいな。

 

生きてることは本当に奇跡だなと毎日感じてるし、生命力って凄いなと感じるし、そういうことを、自分は子供を作ることはなかったので、始まりではなく終わりの人に感じられただけでも、決して無駄じゃない学びだな、も改めて感じてる。

 

母はあんまり学もないし、そういう意味で教えられたことは正直あんまりないのだけども、この期間に学んだことはとても大切なことばかりだったなと。

 

そういう思いで、体は相当しんどくなってきたか、あと少しを頑張ろうと思う。

 

父とも今後のことを少しずつ話すようになったが、また落ち着いたら話そうよ、と言っている。