叶わぬこと

さすがに命の危険と引き換えには出来ない。


とあるニュースを見てて、それにまつわる事を色々思い出していたら、ふと昔、ちょっとした期間やっていた自分の趣味のことを思い出した。

それは山歩き。
山登りではないなと思う。
行っていたのは高尾山近辺だけだったので、登山なんて言うほどのものじゃないからだ。
ただ本当は、もっと登山が趣味、と呼べるくらいの山登りをやっていくつもりだった。

その証拠に、一時期は月に1度は高尾山へ行って稲荷山コースを登っていた。(稲荷山コースは一番人が居ないから)
まずは高尾山くらいだとしても慣れたかったから(行くことと登ることに)
自分の体力的にいけそうと思った時には、城山まで行ったり、城山経由で相模湖へ降りてみたりもしたし、2度ほど陣馬山へ登ったこともあったし、そのうち1回は陣馬山からの縦走もしたことがある。

あの縦走は本当に達成感あった。
朝から登り始めて、まず陣馬山の上で買った梅干しが本当に美味しかったし、
景信山は本当に崖みたいだったし、
高尾山へ戻ってきたら、もう日が落ち始めてしまって、ライトを頭につけて降りてきた、、
という、1日かけて縦走達成したといういい思い出。

もちろん高尾山自体は今でも登ろうと思えば登れる。
ただしもう、舗装された1号路しか無理なのだ。
単なる山道も微妙だし、巻き道はまず無理になってしまった。

聴神経腫瘍を患った時に言われたのが「とにかく端っこを歩くのは気をつけてください」だった。
聴神経腫瘍というのは、平衡感覚がちょっとおかしくなる病気でもある。
治療をする直前あたりは、本当に目眩はしょっちゅうしていたし、昔から車酔いも多いし、特に前後の位置関係が分からなくなることもあって、その「端っこ歩かないように」と言われた時に、もう山歩きは辞める事にしたのだった。

もちろん治療はして腫瘍の進行は止めたものの、片耳が聞こえにくい状態は一生続くので、バランスが取れない者としては、山へは単なる観光、安全に安全を重ねたものじゃないと行けないことになってしまった。

陣馬山からの縦走、もう1回したかったなぁ。。。
でも、もうそれは叶わない。

こういう叶わないことは、病気によるものだけでなく年を取ると、どんどん増えていく。

だからできることはどんどんやらないとな、と本当に切に思った。



かつて行った時に陣馬山の頂上にて。

縦走の途中。